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闇の箱

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□ 『研修』 □

『研修』 08 リペア(8)

 少女の舌の動きが少し変わったのを感じて、男の笑顔が苦笑混じりのものになった。この年頃の娘は本当に単純だ。すこし褒めてやるだけで気をよくする。他の人間の前で味方をしてやるだけで気を許す。辛いことをさせた後に優しい言葉をかけると、途端に懐いてくる。意地を張ることはあっても、内心の動きは極めて単純である。それを操ることは、男にとっては造作もないことだった。

 人間は誰しも、自分のことを認めて欲しいという欲望がある。少女から女へと在り方が変わる時期だからか、この年頃の女性は特にその願望が強い。飢えているとさえいってもいい。恋人を求め、女友達を求め、依存といってもいいほどの強硬な関係を築く。少女たちは貪欲に自分の存在を安定させることを求める。自分の存在が認められ、否定されることがない繭をつくり、それを維持しようとする。それはいずれ子を成し巣を守るための練習であり、雌としての本能的な行動である。
 しかし、それはあくまでも練習の域を出ず、永続的な安定を得ることはなかなか出来ない。信頼は言葉ひとつで簡単に揺らぐ。微かな疑いをも敏感に察知し、先手を打って攻撃して屈服させるか、排斥することも厭わない。昨日までの親友を踏みつけにしたり、恋人と衝動的な喧嘩を繰り返すこともある。より安心を与えてくれる存在を求め、次々と男を乗り換えることもある。次を見つける可能性を疑い、現状に不満を抱きながらも堪える者もいる。様々な反応を見せるが、その根本にあるものは、自分を認めてほしいという欲望である。
 安定を得ることが出来ない少女たちの心は、すなわち不安のさなかにある。少女たちは安心させてくれる存在が得られるならば、何をすることも厭わない。それが自分には合わないものならば、自分の方からそれに合わせて変わろうとする。それまでの倫理や好悪、嫌悪の感情などをなかったことにしても、それに縋り付く。それが自分自身を歪めることであり、幸せの意味を変えることであっても、ひとりで不安を抱えるよりはマシだとして受け入れるのである。それはあたかも、望まぬレイプであっても女性器が潤滑液を分泌し、受け入れた男性器の形に膣が変わるように。すべてを受け入れて自分から変わっていくのは、女が生きるための本能ともいえるだろう。「安」という字はそもそもそれを表している。女は、どんなにきつい冠であっても受け入れて、安らぎを得るのである。牡よりも牝の方が奴隷にし易く、年若い少女の方が調教を施しやすいのは、そういう理由である。
 少女の心を牝というかたちに仕立て直す為に、どうこね回しねじ曲げたらいいか。男は長年の経験から、その扱い方を心得ていた。一見、粗野で卑しく見え、気紛れに乱暴をするような男に見えても、その行動には計算が働いていた。今、少女に優しい言葉をかけたのも、それに基づいてのことである。


 少女がこの施設に来てからひと月、今日は初めての大部屋での研修だった。
 このひと月というもの、少女は割り当てられた教室から出ることはなかった。自分に暴力を振るい服従を強いるこの男以外の誰と会うこともなかった。狭い部屋の中で、少女は男の言葉だけを聴き、男の姿だけを見て、男のペニスだけに奉仕した。詰られ、唾を吐かれ、叩かれ、汚された。縄で縛られ、鞭で叩かれ、玩具で快感を送り込まれた。少女の言葉はすべて否定され、少女の要望はすべて却下され、少女の行動の自由はすべて奪われた。それどころか、少女には自由にものを考えることさえ許されなかった。少女の思考は、絶えず送り込まれる様々なものによって妨げられた。快感や痛み、ときには痒み。疲労や眠気で身動きが取れなくなるときもあれば、飢えや渇きをそのままに放置されたこともあった。耐え難い恥辱や尿意に苛まれ、理性を手放すことも度々あった。それらは、少女の頭の中に陣取って、少しずつ他のものを追い出していった。
 男を憎まなかったわけではない。そしてもちろん、お父様への思慕も捨てきれずにいた。しかしそれらも、耳を塞ぐことを許されず聞かされ続けた男の言葉によって削り取られていった。お父様との思い出や愛情は、囁かれ膨らんだ疑念によって押し潰され、助けに来てくれない恨みによって塗り潰されていった。信じるものを失い、自分を片端から否定され、少女はすこしずつ空っぽになっていった。
 そんな空っぽの少女の側にいたのは、男だけだった。少女にとって確かなものは、男の言葉だけだった。少女は男の許可を得て行動し、言い聞かされた言葉の通りにものを考えた。バイブレータで攻められては、これが気持ちいいという感覚だと教えられ、快感に身を任せるのはとても良いことだと諭された。男が運んでくる食事を摂り、男が敷いたシートに排泄をした。食事はたいていは美味しかったし、我慢させられたあとの放尿は気持ちが良かった。許可を出す男のことを、その時ばかりは感謝した。それまでの苦しみも、この男から与えられたものであったのだけれども。
 男の言葉に従い、男の意のままに動くようになると、痛みや苦しみが減った。逆らった罰を与えられることがなくなったからだ。もちろん、少女にとっての苦しみは他にもたくさんあったが、それは逆らっても従っても変わらなかった。いや、素直に従って受け入れてしまえば、気持ちいいこともあった。それもたいていは気持ちいいだけでは済まず、苦しいほどに快感を与えられるのが常だった。しかし、それが正しいことだと、それを観られて喜ぶ人間がたくさんいると、ぼろぼろに疲弊した時に吹き込まれれば、それも良いと思えてしまった。

 男自身がどう思っているのかは解らなかった。男は、少女のすることで自分が喜ぶとは一度も言わなかったからだ。下手なことをすると怒られたが、それも男がどう思っているかではなく、それは間違っているというだけだったからだ。しかし、少女が巧くできるようになると、優しい言葉をかけられることはなくても、罵声で恫喝され、唾棄しながら詰られることは減っていった。自分から進んで従うようになると、認められることはなかったが、否定されることはなくなっていった。良いか悪いかはともかく、肯定され許可されることは増えていった。
 少女はいつの間にか、男の訪れを待つようになった。男が自分に施す仕打ちを思うと気が重くなったが、心のどこかで男の足音と鍵を開ける音を心待ちにするようになった。
 自分の側にいて、自分にとって確かなこと、正しいことを教えてくれる男が認めてくれるように頑張る。自分の役目は、自分にとって恥ずかしいことを人に見せることである。自分は痴態を演じて、主人に喜んでもらう役者のようなものである。観てくれることは嬉しい。主人の意を汲み、進んでするのが正しいことである。頑張って奉仕し、頑張って魅せることが自分がすべきことだ。少女はそんな風に考えるようになっていった。




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Date:2010/07/25
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Thema:官能小説
Janre:アダルト

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